妊娠を望んでいる女性だったら誰しも、お腹に小さな命が宿っていると分かったときは飛び上がるほどうれしいことでしょう。エコーで見る小さな豆つぶの真ん中で心臓がチカチカしているのを見る時、言葉にならない気持ちを感じた事を今でもよく覚えています。
妊娠が分かったら次に考えるべきことは「どこで産むか」「どのようなお産がしたいか」ということです。
でも私は初めての妊娠の時、もちろん子供を産んだ経験なんてないですから「どのようなお産がしたいか」と聞かれても「出来るだけ痛くないように…」くらいしか考えていませんでした。だってお産というものをどこかで教えてもらったことがないんですから、全くイメージが出来ないわけです。
そんなノープランな状態で第一子を出産した結果、なんか心のどこかにモヤモヤが残ることに。もしまた妊娠する機会があるなら完全燃焼したい!リベンジだー!!と決意を固めて出会ったのが「助産院」でした。
今回はわたしが助産院にほれ込んだ入り口を少々ご紹介したいと思います。
目次
後悔が残った初めてのお産
わたしが第一子を出産したのは市内外を問わず人気の産婦人科クリニック。市内では総合病院かこちらのクリニックの二択しかなく、特に既往歴もないし、職場の上司の奥様が出産して大変良かったということで深く考えずに即決しました。
いざクリニックに足を運んでみると、そこは良い意味でわたしのクリニックの常識を覆す美しい光景が…。
玄関からはさわやかな柑橘系のアロマの香りが漂っていて、広々とした落ち着いたロビー。ナースも助産師さんもみんな黒いシックなワンピースだし、産科医の先生はワイシャツにベストを羽織りスラックス姿。ここではだれも白衣を着ないんです。とにかく品があってまるでホテルのような対応でした。
入院中の居室は全て個室で広々とした部屋にはクイーンサイズのベッド、ゆったりと腰かけられるソファにテレビ。食事はすべてレストラン顔負けのゴージャスなメニューでサービスでリフレクソロジーや全身マッサージも受けられたんです。
これはね、もはや出産ではなくバカンス!
でもいくつか心に引っかかっていたことも。
それは妊婦検診のとき、私の質問に納得する答えが返ってこなかったこと。でした。
初めての妊娠で、次々と訪れる自分の身体の変化に私は戸惑っていました。この痛みは大丈夫なのか?こんな湿疹どうしてできるの?この感じている違和感は正常な範囲なのか?などなど。
でも返ってきた答えは「検査で問題がないから大丈夫」というものでした。
体重の増加や血液検査、赤ちゃんの状態が大丈夫かどうか確認することが彼らの仕事のようで、妊娠に伴うわたしの身体の変化にはあまり興味がないしアイディアがないような印象。
妊婦検診ってそんなもんなのかな…。意外とサッパリしてるんだな。
出産を終えてからもこのモヤモヤは払しょくされることはありませんでした。
ちゃんと心に感じる声に従っておけばよかったなぁ…。
もしもう一度妊娠、出産することが許されるなら自分を理解してもらえる信頼できる人にお願いしたい!そのように心の中で決意したのでした。
初回面接で涙が出た。
その後恵まれて第二子を妊娠することになり、初めに思い浮かんだのが隣接する市のとある助産院でした。以前職場の先輩が出産してよかったよ~と言っていたことを思い出してホームページを覗いてみたところなんだかすごくほんわかしていて私好み。
なんだか良い予感がする…!
すぐさま電話をかけてみると電話先の女性がとても丁寧に対応してくださり、とりあえず初回面接をしましょうということになりました。
初回の面接をしてくださったのはでんっと構えたおばちゃん院長先生。全然気取っていないから本当にどこにでもいそうな近所のおばちゃんという感じで、拍子抜けと共になんだかホッと安心しました。
まずは助産院とはどのような場所なのか、どのような人は助産院で出産する事ができないのかなどを一緒に確認したり、最近の助産院事情などをぺちゃくちゃおしゃべり。
一通り話し切ったところで院長先生はしっかりとわたしの目を見て、ゆっくりとこのように話してくださいました。
「わたしはあなたがどんな思いで妊娠することを決めて、妊娠がわかった時どんな気持ちになってどんな出産をしたいと思っているのか、あなたの気持ち一つ一つに寄り添いながらお産のお手伝いをしたいと思っています。」
この言葉を聞いた時、思わず目から涙がぽろりと落ちてきました。
あぁ、あったかい…。
当時わたしは色々な葛藤や不安な気持ちを抱えて妊娠していました。ツワリもひどく、情緒不安定だったかもしれません。そんなボロボロのわたしの心の琴線にそっと触れた一言でした。
この人なら信頼できる。わたしは何が何でもここで出産するんだ~っ!と心の中で決めたのでした。
産院選びで大切にしてほしいこと
わたしが伝えたいことは、「とにかく助産院っていいよ!」ということではありません。様々な事情があって助産院で産むことができない方もいれば近くに助産院がないという方も多いかもしれません。でもこれだけは全ての人にオススメ出来ると思います。信頼できる人を選んでということ。妊娠、出産は自分の予期しないことが色々起きてきます。そんな時に安心して相談できる人がお産を手伝ってくれるのであれば、心も身体も気持ちよくゆるんで、幸せなお産へと導かれるように思います。
出産は女性にとって特別な繊細なイベント。どうか一人でも多くの女性が気持ちの良いお産をすることができますように。